第2話【ブレインプログラミング】
6年ほど前に読んだ本で紹介したい本がある。
『ブレインプログラミング』アラン, バーバラ・ピースという夫婦※が書いた本だ。
※行動学や脳科学に基づいた講座、執筆活動を行っており、夫婦共にコミュニケーションの分野での世界的権威らしい。主な著者に「話を聞かない男、地図が読めない女」がある。
さて、一言でこの本を表現すると「情報の整理」だ
新しいと思ったのは、今自分がやりたいこと、取り組むべき事を、本の中で実際に書かせる点だ。
アウトプット→インプットを読みながら行うことで、必然的に学びを活かすことが出来る。学習から実践に移す段階で挫折する人には、まさにうってつけの内容となっている。
思考は具現化する。といっても、現代社会においてそれは難しいことだ。
あらゆる情報が交錯し、それらが簡単に得られ、脳は情報収集に依存し、情報を得た時点で快楽物質が放出され、欲求は満たされる。
貴重な情報や、高品質な創造物が、無料もしくは即座に得られることで、重要性は希薄し、自分の目標を高く設定し、持続するのは並大抵のことではない。
ブレインプログラミングとは、この世にあふれる何億、何兆もの情報の中から、
自分にとって必要な情報だけを抜き出す作業だ。
それ以上でもそれ以下でもない。
この本に限らず、多くの本で語っているのは、提起した問題に対する解説、事例、対策、根拠の説明がほとんどで、結論や大事なことは、本自体もしくは章の最後あたりに述べるようだ。
結局、伝えたいポイントは一言で完結する場合が多いが、これも例外ではない。
当たり前のようなことを当たり前にするのが実は大変難しい。
だからこのような自己啓発本がベストセラーになるのだろう。
しかし、どれも結局伝えたいことは同じではないかと思う。
京セラの創業者、稲盛和夫氏の著書「生き方」では、稲盛氏が松下電器の創業者、松下幸之助氏の講演に参加した時のことを回想している。
参加者の多くが経営や成功のコツを聞きたいという中で、松下氏が言った言葉は
「成功したいと思い続けるしかない」であった。続けてそんなコツがあるのなら自分が教えてほしいと。
参加者は、なんじゃそりゃというような反応であったらしいが、この言葉に稲盛氏はピンときたらしい。経営の神様でも自分と同じなんだ。同じ悩みを持つ人間なんだ。それが励みになり、その後の大きな成功を収めるに至った。
アップルの創業者、スティーブ・ジョブズ氏も、成功に必要なのは「情熱」「飢えと愚かさ」だと語っている。
偉人の言葉を借りたが、人生を好転させる方法の結論は、
「目標を設定し、それに向かい続けること」しかないようだ。
どんなベストセラーを読んでもおそらく、そこにしか行き着かないし、
その状態が現状の良し悪しを決めると思う。
ブレている、ましてや設定すらもしていなければ、現状が良いはずがない。
物事は全てシンプルである。
ただ、多くの人や媒体を介して複雑になっているし、
そもそも人間は難しく考えて、目の前の問題から逃げるための正当性をつくるものだ。
自分の目標を常に意識し、向かい続けること。やることはそれしかない。